まずお子様の最初の皮膚症状は、生後2週間ごろから顔に出来た湿疹ではありませんか?通常乳児湿疹や乳児脂漏性皮膚炎という診断をされますが、その湿疹があるとかゆいため顔を擦りつけてきたり、自分の手でこすったりし始めます。それに対して適切な治療をしないと、掻くことに対する癖が付いてしまいます。私はそれを「掻きグセ」と呼んでいますが、なんと生後1ヶ月の時点で付いていることが判明しました。
ではこの掻きグセに対して何もしないでいると、ホッとしたときや不安な時に体のどこかを掻くようになり、その掻いた痕がかゆくなるため益々掻いて、徐々に症状が悪化します。
さらに症状が進むと、肘の裏や膝の裏など関節の部分を強く掻くようになり、典型的なアトピー性皮膚炎の像を呈するようになります。
しかし専門でない一般的なクリニッックでは、それまでは小児の乾燥性湿疹という診断で治療していて、症状が悪化したこの時点で初めてアトピー性皮膚炎と診断されることが多いようです。つまり掻きグセによって掻き続けて症状が悪化しないとアトピー性皮膚炎と診断されないため、治療が遅れる傾向にあります。
5歳を超えると掻きグセが「癖から依存」に進行し始め、掻くことをやめられない状態、私が「掻破依存症」と呼んでいる一緒の精神的依存症に陥ります。成人のアトピー性皮膚炎はこの「掻破依存症」ですので、もうどんな治療にも抵抗性で掻くことを止められなくなっています。
ではこの状態になる最初のきっかけはなんでしたか?そうですね。生後1ヶ月ごろに顔にできた赤ちゃんの湿疹ですよね。つまりこの時点でアトピー性皮膚炎の診断をして、掻きグセを取る治療(根治療法)をすれば、子供のうちに完全に治すことができるのです。
結論として、大切なお子様は乳児のできるだけ早い段階で、根治療法(完全に治す治療)を開始することを強くお勧めします。
2022年11月吉日
アトピアクリニック 稲葉 葉一