まずアレルギー体質は遺伝します。そのアレルギー体質で皮膚や目、鼻などに起こる単なる症状を、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎など呼んでいるだけだと考えてください。つまりアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎は一つの病気の一症状だということです。
その中で特に問題なのは「アレルギー性結膜炎である!」と2019年の夏に気づいたので、みなさんにお知らせしなければと考えてここに記載しました。
小さいお子さんは風邪でもないときによく鼻水を垂らしていますよね。それがおそらくアレルギー性鼻炎でしょう。そうであれば当然目のアレルギーも出ている可能性が高く、目ヤニが出ていたり、目をこすったりしているはずです。
ここで問題なのは目をこするという動作なのですが、写真のようにいつも目をこすっていると目(角膜)の表面に傷が入り、それが治らないままにまた目をこすると角膜の表面の傷が汚く治り、その結果表面に凸凹ができます。これがいわゆる乱視の原因なのです。
当クリニックを受診している患者さんで目を頻繁に掻いている5歳前後の子供達を検査したところ、なんと約70%の子供達に、しかも約80%の確率で右利きは右目、左利きは左目に乱視が認められました。アレルギーは遺伝しますので、その子の親達に確認したところ、かなりの確率でどちらかの親に、それも利き腕の方に乱視が強く出ていることが判明しました。つまりアレルギーがあり、それに対して適切な治療をしなければ、約50%の確率で乱視になる可能性が高いという結果です。
この結果に私は驚愕しました。それ以来目を頻繁に掻いている子供達は、当クリニックで乱視があるかどうか検査しています。一旦乱視になると自然に治ることはありませんので、みなさんのお子さんが目を掻いていないか注意してみてください。初期ならば確実に予防できますので。
ただし目の周りにステロイド軟膏を塗ると眼圧が上がり、緑内障という病気になる可能性があります。当クリニックでも最初は眼軟膏を目の周りに使っていましたが、2人の患者さんで眼圧が上がってしまったために、目の周りにステロイドは使えないと考え、その後は非ステロイド軟膏を中心に治療しています。その非ステロイド軟膏はサクランを配合した非ステロイド軟膏で、副作用がなくステロイド配合の眼軟膏よりも効果がありますので、それを使って治療していますが、その治療をした患者さんはみなさん良くなっています。
もしいつも目をこすっているお子さんがいらっしゃるのであれば、なるべく早く診察に来てください。