治療における、ステロイドの使用について

 

アトピアクリニックでの治療の際に、ステロイドを全く使わないと勘違いされている方がいますが、必要であれば当然ステロイドを使います。湿疹の部位は炎症反応に伴う強いかゆみがありますので、それを抑える薬はステロイドが最も有効です。

 

もし湿疹のかゆみを抑えずそのまま放置すると、そのかゆみのため掻きだしその結果炎症反応及びかゆみが強くなり、さらに強く掻きだし湿疹がどんどんひどい状態になります。最も問題であるのは掻く事により掻き癖が徐々に強くなり、最終的には掻くことに関して自分の意志では全くコントロールできなくなり、狂ったように激しく掻き続け、典型的なアトピー性皮膚炎の状態になり、最終的には一生掻き続けるということにもなりかねません。

その意味でもなるべく早く炎症及びかゆみを取り除き掻かないようにするためには当然薬を使うわけで、その中の一つがステロイドなのです。ただし当院では必要最低量を使うように心がけていますし、ステロイドの1日量、1カ月、あるいは1年間の総量までも計算して全く問題ない量で使用していますので、ご心配されるような副作用が出るような事はありません。

当院ではステロイドは治療初期を除き、通常外用剤で1日0.2グラム以下と非常にわずかに使うだけで、もちろん内服や注射で使う事はありません。0.2グラムと言ってもステロイドの含有量はもともと0.1%前後(リンデロンVG軟膏は0.12%、キンダベート軟膏は0.05%)ですので、1日0.2グラムと言う事はステロイド単身では0.2グラム×0.1%=0.0002グラム、つまり0.2ミリグラム、200ナノグラムという本当にわずかな量です。

しかしステロイドを使ったからアトピー性皮膚炎が治るわけではなく、掻くのを止めることで治るのであり、そのために必要最低限使うのです。もちろんかゆみや湿疹が消えてくれば使う必要はないので、治療が維持段階になればその時点では保湿剤だけでステロイドは使いません。

 

 

マスコミなどの影響でしょうか、ここ10年ほどステロイド恐怖症の方が非常に増え、我々皮膚科医を悩ませています。

ステロイドは毎日副腎という組織から出ている生命維持に必要な大切なホルモンなのです。ステロイドに関するイメージだけで、単に漠然とした不安として「ステロイド=毒」とでも言うように、「ステロイドを使う医者は駄目な医者だ」とでも思っている方もいらっしゃいます。

今やステロイドはごく一般的な薬になっていて、薬局で販売されている一般薬にも使われていて誰でも簡単に入手できます。また喘息に使う吸収率が高い吸入薬に使われているステロイドはあまり気にならなくて、吸収率が低い外用のステロイドばかり気になるのも不思議な現象です。皮膚の治療にステロイドを使うのが嫌だということは、薬を使わないで治療してくれと言っているようなものです。

皆さんがステロイドに対する正しい知識をもてば、ご心配されるような副作用が出るような事はありません。これはすべての病気に言える事ですが、医者を信じて任せるという気持ちにならなければ、絶対に病気には勝てません。

どうぞ安心して、当クリニックの治療をお受け下さい。