気付いてください!ステロイドではアトピー性皮膚炎は治せませんよ。

はじめに

「アトピー性皮膚炎、食物アレルギー」ご両親にとって恐ろしい言葉に感じるでしょうが、全く心配ありません。
勿論治療しなければ世間一般で騒がれている最悪の結果もありうるでしょう。そう「何もしなければ」です。
全ての病気、例えば糖尿病あるいは癌でさえも発症初期であればほぼ確実に治せますが、治療が遅れると治すことが難しくなります。アトピー性皮膚炎や食物アレルギーも全く同じです。
例えば食物アレルギーは、当院でお母様の授乳期間における食事の適切な指導を行なうことにより、お子様の食物アレルギーがほぼ予防可能になりました。
アトピー性皮膚炎に関しても、当院の様に多くの患者さんを発症初期から全経過を通じて観察することが出来れば、何処が問題であり、どの時点でどのような治療をすれば完全に治すことが出来るのかが自然と分かって来ます。当院ではその情報に基づいて、適切な治療を実施しているだけなのです。
じゃ何故ほかの皮膚科あるいは小児科がそのような治療をしていないかと言えば、簡単に言うと専門として取り組んでいないからです。つまりアトピー性皮膚炎を皮膚病全ての中の一つの病気として取り組んでいるだけであり、専門ではないので当然深く掘り下げて診ることができないのです。
近年内科は胃腸科、呼吸器科、循環器科など専門別になってきていますよね。それはより専門に勉強しないと高度な医療知識や技術に対処出来ない、つまり優秀な医者になれないからであり、アトピー性皮膚炎は通常の湿疹や皮膚炎とは全く異なり、食物アレルギーを含め他のアレルギー疾患との関連もあり、非常に難解な疾患なので、やはり専門に研究しなければ取り組むことは出来無いと思います。
ところがアトピー性皮膚炎は皮膚病全体数からすれば患者数が少ないと多くの医者自身が思っていて(実際には非常に多いのですが)、アトピー性皮膚炎専門だけではクリニックの経営が成り立たないと考えているからです。それに加え各大学を含めアトピー性皮膚炎を勉強できる施設がほとんど無いために、現状医者は独学で勉強する以外ないのです。この様な理由でアトピー性皮膚炎を治療できる専門医が少ないことがお分かりでしょう。
今までの説明でお分かりでしょうが、アトピー性皮膚炎に関して一般クリニックと専門クリニックとでは治療の質が全く異なります。分かりやすい例として、大衆食堂で食べるとんかつと専門店で食べるとんかつ、同じですか?

当クリニックでつくりました「かゆくないもん」の絵本です。
是非ご家族で楽しくご覧くださいますと幸いです。

 

アトピー性皮膚炎の概略

まずはアトピー性皮膚炎の全経過を知らなければ治療など出来ません。
発症は出生2週間ほどから出現する赤ちゃんの顔面の湿疹、乳児(脂漏性)湿疹です。この湿疹は通常1から2ヶ月で治りますが、その前後から乾燥肌が出てきて、首やワキあるいは関節の内側などが赤くただれて来ます。そのころにはきちんとした治療(ステロイドを塗っても治りませんよ!)、つまり保湿中心のスキンケアをしてその様な状態にならないようにしなければ、ほかの病気の経過同様少しずつ悪化していきます。
皆さんのお子さんで思い当たる方も居るでしょう。最初は乳児期の顔面の湿疹だけでクリニックを受診し、そこで処方されたステロイド軟膏を塗って治ったように見えたにもかかわらず、気がつくと湿疹は徐々に全身に拡大していったことを。
つまりアトピー性皮膚炎の経過は、乳児の顔面の湿疹に始まり、乾燥肌の出現、関節の内側などのタダレを伴う湿疹、そして自分で引っかいて作る湿疹と進み、最終的には全ての湿疹を自分で掻いて作ってしまう『精神的依存状態あるいは依存症』に陥ってしまうのです。
実はこの『精神的依存状態あるいは依存症』、程度の差はあれアトピー性皮膚炎患者全てがかかることが分かり、軽いものを『精神的依存状態、以降「掻き癖」』、重症なものを『精神的依存症、以降「掻破依存症」』と私は呼んでおります。
ほとんどの幼児までの患者さんはこの「掻き癖」の状態であり、スキンケア中心の治療でコントロール出来かつ完全に治す事が可能ですが、一部の幼児や多くの小児は既に「掻破依存症予備軍、あるいは完全な掻破依存症」に陥っています。こうなるとスキンケアだけではコントロールが難しく、「抑制」と言って常に掻く部分を包帯などで巻いて掻けなくする方法も併用しなければ治療できない状態になっています。
さらに年齢が進むと完全な「掻破依存症」に陥っていて、掻いてはだめだと分かっていても自分でもどうすることも出来ない状態になっています。ここまで進むと治療抵抗性であり、治癒状態にするには困難を極めます。
なお発症初期から掻破依存症状態を通じて、アトピー性皮膚炎はステロイドで治すことは絶対に出来ませんので、そこは留意していてください。ただしステロイドを使ってはいけないと言っているのではありません。出来た湿疹は消さなければならないので、その場合はステロイド軟膏を使ってかまいませんが、基本は湿疹が出来ない様にスキンケアなどでコントロールした状態を維持することが重要なのです。
乳児期に顔面の湿疹で顔を擦って掻く事を覚え、ほっとしたときや不安なときなどに掻く動作をするようになりますが、それが掻き癖の始まりです。その後乾燥肌が現れるとそれにより痒くなり体を擦ったり実際に手で掻いたりする様になり、それがまた掻き癖を悪化させる事になるのです。
一般的にはアトピー性皮膚炎は小児期には治りますが、厄介な掻き癖は記憶に残り、また大きなストレス(一般的には就職)が掛かると、乳幼児期に掻いていた部位を中心にまた掻き始めます。これが「掻破依存症」の再発です。
この後はストレスが掛かるたび、例えば転職、引越し、結婚、妊娠、離婚、病気などのエピソードごとに以前と同じ部位を掻き始めます。

以下のアトピー性皮膚炎患者の実際の統計がアトピー性皮膚炎の全経過を良く表していると思います。

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この統計では20歳ごろからまた再発していますが、これは短大卒業年齢に相当しますので、就職後に再発し始めていると推測できます。この一旦治った状態になってまた就職で再発するパターンが70%ですが、残り30%は一度も治らず一生掻き続けていることになります。これは幼児期か小児期に適切な治療がなされずに掻き癖から掻破依存症に進んでしまった例だと言えます。私はこの状態を「ステロイドによる対症療法の末路」と呼んでいます。
この状態は薬物療法ではどうしようもない状態ですが、精神的アプローチで軽快状態にすることは可能ではありますが、やはりここまでくると困難を極めます。

アトピー性皮膚炎の治療とは

1.対症療法
アトピー性皮膚炎の治療で、ステロイドで湿疹部分を抑える治療を「対症療法」と言いますが、これは風引いたときに発熱に対して熱さまし、咳に対して咳止めなど、病気を治す治療ではなく症状を押さえるだけの治療を言います。
つまり出来た湿疹をステロイドによって一時的に抑えるだけで、原因に対しては一切治療していないのです。
最終的に当院を受診された患者さんの親御さんが、皆近所のクリニックで治療していましたと言われますが、ほとんどこの対症療法であり、病気自体を治しているクリニックに出会ったことがほとんどありません。つまり治療していると思っていたかもしれませんが、実際には全く治療されていなかったと言うことになり、症状も徐々に悪化してきたはずです。その話をすると皆さんショックを受けられますが、現実なのです。
2.根治療法
これは病気自体を根本的に治す治療のことで、対症療法とは180度異なる治療のことです。
A. 対症療法=ステロイドで掻いて出来た湿疹を一時的に抑えるだけの治療。
この治療では根本的な原因に対する治療を行なっていないので、徐々に悪化する可能性が高い。
B. 根治療法=スキンケアを中心とした治療にて掻かない様にコントロールして湿疹を予防する治療。
掻く事により湿疹が出来それが痒くなりまたそこを掻くと言う「掻き掻き連鎖」を防止し、掻き癖を取り除く=完全に治す。

前述した様にアトピー性皮膚炎の経過は、乳児の顔面の湿疹に始まり、乾燥肌の出現、関節の内側などのタダレを伴う湿疹、そして自分で引っかいて作る湿疹と進み、最終的には全ての湿疹を自分で掻いて作ってしまう「掻き癖あるいは掻破依存症」陥ってしまうのです。
では理想的なアトピー性皮膚炎の治療とは、初期の段階から、つまり乳児の顔面の湿疹が出現したらまずそれを治す事が最初の治療です。その後徐々にアトピー性皮膚炎の特徴である乾燥肌(アトピックスキン)が現れます。乾燥肌はカサカサして痒くなるので保湿剤にて完璧な保湿をして痒くならない様にします。完璧なスキンケアを行なえば痒みを抑えられるため、掻く動作も無くなり、湿疹が出来なくなります。この状態を維持する事で付いた掻き癖も徐々に消え、最終的に完治するのです。
しかしながら発症初期の段階で理想的な治療を開始できるケースはまれであり、通常は近医で対症療法にて治療をしていたにもかかわらず徐々に悪化して初めて事の重大さに気づく事が多いようです。この場合は既に掻き癖も強くなっており、スキンケアだけの治療ではコントロールは難しいので、抑制などの補助療法を加えながら徐々に掻き癖をコントロールして治して行きます。ただし掻き癖は年齢と大きく関係しており、3歳を過ぎるとコントロールが難しい症例が多くなってきます。その意味でもなるべく早期から根治療法を開始すべきなのです。
もうお分かりでしょうが、ステロイドではアトピー性皮膚炎を治すことは出来ないのです。
次に以下の説明動画を繰り返し理解できるまで見てアトピー性皮膚炎の全体像を理解してください。

 

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